こんばんは、京都市中京区の早川医院です。
トレチノイン(ビタミンA誘導体)は、一般的に「ピーリング効果で肌が薄くなる」というイメージを持たれがちですが、医学的には「表皮を厚くし、真皮を再構築する」という非常に重要な働きを持っています。
当院では院内製剤としてトレチノイン軟膏を取り扱っております。

具体的にどのように肌の厚みに影響を与えるのか、そのメカニズムを解説します。
1. 表皮の厚みを増やす(細胞増殖の活性化)
トレチノインの最も代表的な効果の一つは、表皮の基底層にある細胞の分裂を促進することです。
-
角質のケア: 古くなった角質(肌の一番外側の層)を剥がれやすくします。この段階で一時的に薄くなったように感じることがあります。
-
表皮の肥厚: 細胞分裂が活発になることで、表皮そのものの層が厚くなります。これにより、肌にハリが出て、キメが整った状態になります。
2. 真皮のコラーゲン産生(弾力層の強化)
肌の深層部である「真皮」に対しても、強力なアプローチを行います。
-
コラーゲンの増生: 真皮にある線維芽細胞を刺激し、コラーゲンやエラスチンの生成を促します。
-
ヒアルロン酸の増加: 真皮内の保水成分であるヒアルロン酸の分泌も高まるため、肌の内側からふっくらとした厚み(弾力)が生まれます。
3. 注意点:一時的な「薄さ」と「赤み」
使用開始直後は、以下の理由により「肌が薄くなって弱くなった」と感じることがあります。
-
レチノイド反応: 肌がビタミンAに慣れていない状態で使用を開始すると、ターンオーバーが活性化されることでバリア機能が一時的に低下し、赤みや皮剥けが起こることがあります。対策として、はじめはごく少量、部分的な塗布から始めてください。徐々に塗る範囲を増やし、全顔に広げていきましょう。
また、継続して使用しすぎると効果が薄れ、無くなってきますので、適切な濃度と頻度を守ることが不可欠です。当院では、2か月使用し、1か月休むというサイクルで使用していただいています。
まとめ
トレチノインは短期的には表面を薄く剥離させますが、継続的な使用によって表皮を健康的に厚くし、真皮の密度を高める効果が期待できます。これは、加齢によって薄くなった肌(皮膚萎縮)の改善にも有効とされています。
なお、トレチノイン使用中は紫外線や摩擦に対して敏感になるため、徹底した保湿と日焼け止めによる遮光が必要です。また、カウンセリングが毎回必要となり、窓口だけでのお渡しはできません。ご理解くださいますようお願いいたします。
